2014年11月12日水曜日

第192回研究会のご案内

事前参加申し込みは締め切りましたが、ご参加いただけます。当日、直接会場にお越し下さい。
第192回研究会ご案内
(協賛:JFMA 公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会)

日本の病院建築の短命さを考える


 20世紀は消費型社会であったと言われているが、循環型社会が希求されている21世紀に至ってもその社会構造は根本的に変化していないように思われる。終戦後復興期に建設された鉄筋コンクリート構造の耐火建築物は、我が国に無限にある石灰や砂利を使用しており、しかも半永久的に使い続けることが出来ると大いに期待されて、建築土木に積極的に採用され病院建築にも普及した。法的には建築矩体は60年、設備は30年が減価償却の期限と定められているが、多くの病院はその年限に達する前に建て替えられているのが現状である。建て替え理由の多くは耐震性能が不足している、老朽や朽廃、設備の劣化による機能不全などである。西欧の多くの病院は、地震国でないという理由が大きいものの、創建当時の建築を100年以上もの間、修繕を繰り返し活用し続けている事例も多い。
 本研究会に登場する講演者らも、多くの病院計画に関与してきたが、先輩諸兄らの建築の建て替えや、自身が関与した建築ですら建て替えられるという状況に直面している。自分らは亡くなっても建築は永らく残っていく筈だったのにと。方丈記の記述のなかに、現世の宿(建築)はあくまで、うたかたの人生を送る「仮の宿」に過ぎず粗末で良いと記されており、建築や住む街に対する日本人の考え方に深く投影されているといえる。しかしこの考え方は江戸や明治・大正、あるいは昭和初期までの自然素材で作られた建築や街では通用したが、人工材料ばかりを使用してきた20世紀の人々は、ゴミ以外は何も残さなかったということになるのではと、強い危機感を抱いている。
 本研究会では、この「短命な病院建築」についてその原因を追及するのみでなく、未来に向けた打開策について積極的な議論を期待したい。

Ⅰ 講演(午後2時~4時)
1.「医療現場から見た、これからの病院建築に求められるもの」
郡健二郎(名古屋市立大学学長)

2.「愛知がんセンターとの50年」 
柳澤 忠(名古屋大学・名古屋市立大学名誉教授)

3.「生き残る病院への建築設備の要件」
中原信生(名古屋大学名誉教授 建築設備コミッショニング協会名誉理事長)

4.  「公共建築の長寿命化への模索―学校建築と病院建築を中心として」
上野 淳(首都大学東京名誉教授・理事 医療福祉建築協会会長)

5.「FMの観点から病院建築を考える」
谷口 元(名古屋大学特任教授・施設整備担当総長補佐)

Ⅱ 討論「ストック型社会における病院建築のあり方」(午後4時10分~5時)
コメンテーター: 槙孝悦・田中一夫(JFMAヘルスケア部会員)
         宮原隆志(セントラルユニ、JFMA会員)宮治眞(名市大)

司 会:鈴木賢一(名古屋市立大学大学院芸術工学研究科教授・研究科長)
日 時:平成26年12月6日(土) 午後2時~5時(受付開始 午後1時30分)
場 所:名古屋市立大学芸術工学部北千種キャンパス(図書館2階大講義室)
                〒464-0083 名古屋市千種区北千種2-1-10 TEL:052-721-1225
                基幹バス萱場バス停前、自家用車の入構可(入構後に要記入)
参加費:個人・団体会員無料、会員外2000円

参加を希望される場合はWebページから、または電子メール・FAX・
ハガキのいずれかで、(1)所属施設・部署名、(2)参加者氏名、(3)連絡先TEL・FAX 番号 メールアドレスを、下記事務局までご連絡ください。
*登録完了のご連絡はいたしません。ご了承ください。